どうも。いけすびです。
iDeCoを始めて所得控除を狙おうと思ったのですが、そもそも控除されるための所得税ってまだ残っているのか気になりました。
住宅ローン控除で10年間は毎年最大40万円も支払うべき所得税から引いてくれるんですよ。
お子さんが生まれれば医療費が多額にかかるでしょう。医療費控除も受けられるかも知れません。
生命保険や地震保険に加入していればそれも控除されます。
配偶者控除や扶養控除もありますよね。
最近流行りのふるさと納税による寄付金控除もあります。
意外とすでに色々なことで控除を受けているのです。
その上iDeCoを始めてさらに控除してもらおうと考えたものの、そもそも本来払うべき所得税があってそれを軽減させる仕組みなので、払うべき所得税が今すでに受けている控除で無くなってしまっているなら意味がないはずです。
iDeCoを始める前に今一度立ち止まって調べてみました。
サラリーマンにとっての所得控除を考える
控除対象は人によって本当に変わってくるので、ここでは下のサラリーマンをモデルケースとして考えてみたいと思います。
モデルケース
- 年収600万円
- 妻は専業主婦
- 小学校と幼稚園の子供が1人ずつ
- 年末の住宅ローン残高がが4,000万円以上
- 生命保険に加入(年額8万円)
- 地震保険に加入(年額1万円)
- 社会保険料(年間80万円)
- 今年子供を出産していて年間の医療費が60万円
- ふるさと納税として7万円寄付
- 住民税は25万円
給与所得控除を理解しよう
納税額は以下の式で決定します。
所得税計算式
所得税 = (年収 − 給与所得控除 − 所得控除) × 税率 − 課税控除
計算式をみて分かる通り、所得控除を差し引く前に、まず年収から一定額を差し引いて「所得」を算出します。
個人事業主の場合はそもそも収入から経費を差し引くのですが、モデルケースのようなサラリーマンは経費に該当する金額を給与所得控除としてみなしの金額で差し引きます。
給与所得控除は以下のとおり、年収によって決定します。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 | 収入金額×40% 65万円に満たない場合には65万円 |
180万円超〜360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超〜660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超〜1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超〜 | 220万円(上限) |
モデルケースの場合、「収入金額×20%+54万円」が該当しますね。174万円です。
したがって、所得は年収600万円から給与所得控除額174万円を差し引いた426万円ということになります。
ここから各種所得控除額を差し引いていきます。
所得控除を差し引いて課税所得を出そう
モデルケースの各種所得控除額はこの通りです。
所得控除の種類 | 所得控除額 |
---|---|
合計 | 175.8万円 |
医療費控除(10万円を超える分) | 8万円(60万円 – 出産一時金42万円 – 10万円) |
社会保険料控除(全額) | 80万円 |
生命保険料控除(最高12万円) | 4万円(8万円 × 1/4 + 2万円)※ |
地震保険料控除(最高5万円) | 1万円※ |
寄付金控除(寄付金額 – 2,000円) | 6.8万円(7万円 – 0.2万円) |
配偶者控除(38万円) | 38万円 |
扶養控除(38万円) | 0万円(16歳未満のため) |
基礎控除(38万円) | 38万円 |
※生命保険料と地震保険料は、支払い保険料によって計算式が異なります
結果として課税所得は、426万円 – 175.8万円で250.2万円ということになります。
所得税を計算しよう
課税所得がわかったので、ここで初めて所得税を計算します。
所得税は課税所得の額によって計算式が異なります。
また、税率を掛けた所得税に対して課税控除して最終的な納税額を決定します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超〜330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 279.6円 |
4,000万円超 | 45% | 479.6円 |
課税所得は250.2万円だったので、税率は10%ですね。
したがって納税額は250.2万円 × 0.1 – 9.75 = 15.27万円ということになります。
住宅ローン控除も忘れずに
それでは納税額は15.27万円ということになるかというと、ちょっと待ってください。
さらにここから住宅ローン控除を受けられるのです。
住宅ローン控除額は借入金の年末残高の1%(上限40万円)なので、モデルケースの場合40万円です。
住宅ローン控除は所得税と住民税の両方から引くことができます。
まず所得税から引くのですが、15.27万円 – 40万円 (= -24.73万円)で、この時点で所得税額がゼロになってしまいました。24万円以上も引ききれなかった控除額が残ってしまっています。
この引ききれなかった控除額を住民税から差し引きます。
差し引きうのですが住民税は減額できる上限が決まっていて、消費税8%の時に住宅を購入していれば13.65万円が減額の上限となります。
なので、住民税を差し引いても引ききれませんでした。
iDeCoの掛け金で控除できる税金残ってる?
というわけで、このモデルケースの場合、既に控除できる分の税金が無いんです。
iDeCoを始めたとしても節税上は何のメリットも無いということになります。
そんな運用利回りしかメリットが無く、60歳まで引き出せないという流動性の低い商品に果たして投資するべきでしょうか?
このあたりは始める前に急がずしっかりと考えるべきです。
まとめ
iDeCoのどのサイトを見ても、誰でもやるべき!節税効果!利回り30%!などといいことばかり書いてありますが、控除のメリットが無い場合、60歳まで引き出せない債券や投資信託という意味合いのものになります。
あなたの場合はどうですか?税金の仕組みはとても複雑ですが、一度立ち止まって考えてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。